富士フイルムが抗インフルエンザ薬の臨床開発と注射剤の開発で「浙江海正」と提携
日本の総理大臣が7年ぶりに中国を公式訪問した10月26日、52本の協力覚書が交換されました。
そのうちの一件として、富士フイルムと中国の浙江海正との、抗インフルエンザ薬「アビガン」に関する提携の覚書があります。
臨床データの提供
富士フイルムは、これまで蓄積してきた「アビガン」の臨床データ等を、浙江海正ほか、中日友好病院と国家緊急防控薬物工程技術研究中心に提供します。
注射剤の開発
富士フイルムと海正薬業は、「アビガン」の有効成分を用いて、重症インフルエンザ患者などを対象とした注射剤の開発を検討します。
すでに2016年6月には、富士フイルムは浙江海正に対して、「アビガン(有効成分ファビピラビル)」の開発・製造・販売の権利を与えており、今回は内容を一部拡大しただけのものとなっています。
しかし、首脳会談にて発表される52件の中にこの案件を含めたということは、日中双方で医薬品開発を重視していることの表れと言えます。
尚、海正のトップの白董事長は、11月8日に退任の発表をしました。長期に亘り海正を率いてきた71歳の白董事長の今回の退任は様々な憶測を呼んでいますが、最後の置き土産として、この日中間の協力拡大を残してくれたと言えるのかも知れません。
Author Profile
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弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)
藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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