中国のAI創薬、発展期 / 中国IT巨頭のBATHが参入


最終更新日: 2022/04/6

今、グローバルにAI技術と創薬技術の融合によるプラットフォーム技術の研究開発が進んでいます。

中国は基本技術分野としてのIT、ビッグデータ処理、AI分野で今後、世界の先端を行くことが期待されていますが、医薬分野では、AI創薬ベンチャーへの投資、事業参入が活発に動いています。

1.投資熱

AI創薬のリーディングカンパニーの一つであるInsilico medicineは2014年にジョンホプキンス大学で創設されました。その後、2019年に本社を香港に移すと同時に、中国の名だたる投資会社、啓明創投(Qiming)をリードとして、中国マネーを資本に組み込みました。2021年6月に約260億円をシリーズCで調達、同年年末にIPO申請。 他方、晶泰科技(XtalPi / 深セン)は2021年8月に400億円をシリーズDで調達。 同年、華潤医薬、正大天晴にAI技術提供を成約。2018年創業の望石智慧(StoneWise / 北京)は2021年4月に数十億円をシリーズB+で調達。同年に翰森医薬、海正薬業等に技術供与を成約。さらには、星薬科技(Galixir / 北京)等の複数のAI創薬企業が同規模の資金を調達しています。

2.中国ITガリバーBATH(中国版GAFA – Google, Amazon, Facebook, Apple)の参入と将来

上記の創薬ベンチャーに加えて、中国IT企業のBATH(バイドウ、アリババ、テンセント、ファーウェー)もAI創薬分野への参入を果たしています。潤沢な資金をバックに中国のAI創薬企業は、製薬企業に対してAI技術サービスを提供するにとどまらず、自社の創薬シーズに研究開発によって、バイテク企業への道を歩み始めています。今後は、日本のヘルスケヤー関連企業も中国のAI創薬企業の動向を本格的にウオッチ(受け身ではなく)していく時期に入ってきていると言えます。

Author Profile

川本 敬二
弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)

藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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