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近年、中国で実施されてきたジェネリック医薬品に対する一致性評価は、中国の医薬品業界にとって突然降ってわいた大嵐のようなものでした。そういった環境下でも、ほぼ最高利益を上げてきたのは浙江省に本社を置く華海薬業(HuaHai / 株式コード:600521;上海)です。なぜ、華海薬業は大成功を収めることができているのか、おそらく自身も予想だにしなかったことだと思います。

華海薬業はAPI領域でのリーディングカンパニーとして知られてきました。特に降圧薬系ACE阻害薬及びARB薬APIの主要供給メーカーでもあります。他方、華海薬業が製剤メーカーとして中国国内で名を知られるようになったのは、2016年から始まったジェネリック医薬品に対する厳格な一致性評価を契機とします。一致性評価をパスするには、生物同等性試験(BE)のほか、CMC(薬学)の再研究も必要となり、たとえすべて順調でも、審査期間を考慮しなくとも一年以上の期間がかかります。当時、多くのジェネリック企業は、製品の許認可の取り下げ、試験の再実施等、辛酸をなめました。にもかかわらず、華海薬業は、スタートから2年後の2018年12月時点で、11品目というダントツ・トップの通過数を誇り、業界を震撼させました。

実は、遡ること12年前の2004年当時から、華海薬業は米国に子会社を設立し、米国向けに製剤の輸出業務を展開させていました。これらの製剤はFDAの承認を受けるべく、すでに厳格なCMC研究とBE試験を行っていたため、今回の中国の一致性評価においては、試験の再実施をすることなく、ほぼ申請するのみで良いという状況でした。

ただし、華海薬業のリスクの1つは大株主の不和とされています。一般的に、中国の民営製薬企業の会長は創業者あるいは一族が着くのが普通です。ところが、華海薬業は外部からトップを招聘するケースが長く続きました。現在の会長李宏氏も華海薬業に入社してから日が浅く、さらに他の経営陣とのつながりが薄いとされています。華海薬業の会長の職は、最大株主と二番目の大株主との不和から、繰り返し外部からの招聘となっています。華海薬業は1989年設立、当時の共同創業者である陳保華氏と周明華氏の両氏は大学の同級生でした。ところが、会社が大きくなるにつれ、二人の意見は調整不能になっていきました。最終的に、二番目の株主の周明華氏は取締役会から外され、最大株主である陳保華氏も2013年会長職を退き、取締役・社長となりました。中国では、会長の権限は社長より強大で、会社経営に対する影響力が大きいことから、このポジションに外部の者が入ってくると、大株主との軋轢を生むことになり、経営の不安定化を招きます。

華海薬業のケースのように、近年の中国製薬企業は、新薬メーカーだけでなくジェネリックメーカーでも、中国国内の政策転換によってのみならず、米国等の海外要因によっても、業界での地位は目まぐるしく変化しています。

「集中買付」の背景

従来、上海人のリッチな方々が病気をして薬を服用する際には、中国産のジェネリック薬には見向きもせず、海外のオリジナル薬を購入していました。国産のジェネリック薬の品質を全く信用していなかったからです。

中国政府(NMPA)がジェネリック薬の品質問題に大鉈を振るったのが、2016年に始まるジェネリック薬のオリジナル薬との一致性の再評価政策でした。多くのジェネリック薬の承認が取り下げられ、NMPAはBE試験等のオリジナル薬との一致性の試験を再実施したジェネリック薬にのみ承認を再付与しました。品質問題の解決の後に続いたのが、医薬品業界のコスト構造の変革です。それは、2019年に始まった国による医薬品の集中買付制度とその後の拡大です。2022年に入って第6回、続いて第7回の集中買付がなされました。

第7回集中買付

国の集中買付に参加できるのは、前記の一致性試験をパスして承認が下りたジェネリック薬です。政府は毎回、集中買付の対象の薬剤を指定します。第1回目の2019年は25品目でした。今回の7回目は488品目に拡大しており、高血圧、糖尿病、感染症、消化器疾患等の汎用薬のみならず、肺癌、肝癌、腎癌、大腸癌等の重大疾病の薬剤も含まれています。近々、年間の全医薬品の販売総額の80%を占める800品目が国の集中買付の対象になるとしています。

毎回、政府(国)が指定した集中買付の対象品目について、ジェネリック承認を得ている企業により入札が行われます。その提示された価格等の条件によって国が落札します。その際、政府によって当該薬剤の一年間の購入量の保証がされます。今回の集中買付には295社が入札に参加し、落札できた企業は217社、落札率は73%でした。一薬剤当たり落札企業は平均5.4社となっています。

例えば、BIがオリジナル品である抗癌剤ジオトリフ(afatinib)の入札は、揚子江製薬、斎鲁を含む5社が落札しています。各社、容量等が異なっており、入札価格はそれぞれです。何れも、名の通った大手製薬企業です。

なお、今回の国の集中買付の対象となっていない薬剤は、その下のレベルの行政機関である省、または複数の省の連合体が集中買付をすることになっています。

集中買付と企業集中

従来は、製薬企業から一次代理店、二次、――五次あるいは六次代理店と長い販売チャネルを経て、病院・薬局に販売されていました。また、省、地区・病院と様々な段階で入札および交渉が行われ、それをパスするために不透明な金の流れも存在していました。

政府による集中買付では、製薬企業ごとに購入する薬剤の量が政府により決められ、その量が各病院に割り当てられます。病院が使い切るかどうかにかかわらず、病院から製薬企業の指定する一次代理店あるいは二次代理店に代金の支払いがされ、製薬企業に薬剤代金が戻ります。したがって営業コストが大幅に削減されることになります。さらには、政府が年間の購入総量を保証することから安定的な製造計画を立てることができ、製造コストも削減されます。その代償として、集中買付により薬剤の買取価格である薬価が引き下がります。

数年前までは、中国には数千社といわれる製薬企業が存在し、規模の小さい企業が全国に散在していました。しかも、他の業界に比べると、高水準の利益を上げることができていました。しかしながら、集中買付制度により、ジェネリック業界は大転換期を迎え、選択と集中、企業の合従連衡が進み、巨大な医薬品市場をバックに企業が大規模化に向かっています。買い付けリストを見てみると、そこに大手の名前が並んでいることで見て取れます。

中国ジェネリック企業の大規模化と将来

さて、その行きつく先はどうなるのでしょうか?中国は従来、薬の中間体を製造し輸出していました。その後、薬の原薬の輸出へと転換。今、正に起きていることですが、原薬から薬の最終形態である製剤品の輸出へと発展しつつあります。中国の国内政策によって、規模が大きく、かつ経営の効率化が進んだジェネリック企業が出現し、今後、国際進出の時代が到来すると思われます。すでに、華海薬業、健友、海普瑞などは製剤品を多く輸出しています。

日本の医薬品企業は、中国のジェネリック薬の取引を受け身的に対応するのではなく、諸々のさざ波を乗り越えて、日本企業側から将来の輸入取引についてビジョンを提示していくべき段階にあります。

以前紹介した「医薬品の特許紛争の早期解決システムの実施規則(药品专利纠纷早期解决机制实施办法)(試行)」の最終版が公表され、7月4日に施行されました。続いて、それに関連する裁判所、特許庁の細則も7月5日に公表されて施行され本格的に動き出すことになりました。

パテントリンケージ制度の全体像

従来、ジェネリック企業があるジェネリック薬の上市の承認申請をした場合、中国の薬事当局はその審査段階においてジェネリック薬が医薬品として必要な基準を満たしているか否かの審査をするだけではなく、特許に関連する問題も判断していました。つまり、当該ジェネリック薬の製造・販売が対応の新薬(先発品)をカバーする新薬特許を侵害するか否かについてもある程度のレベルで判断がされていて、問題がないと判断されてはじめてそのジェネリック薬に対して上市の承認が付与されていました。そこには外部の様々な利害関係者からの圧力がかかっていたであろうことは想像に難くありません。そして今回のパテントリンケージ制度では、特許問題の判断にあたっては薬事当局がジェネリック薬の承認審査段階で単独で行うのでなく、裁判所特許局とも緊密な連携を取って早期に解決しようというものです。

したがって特許法76条に定められているパテントリンケージ制度については、上記の3つの機関がそれぞれ下記の通り細則・弁法等を公表した上で施行されています。

 これらの弁法・規定を引用しながら、下記の全体像に従って説明を進めて行きます。

特許情報プラットフォームの開設

中国の薬事当局である医薬品監督管理局(NMPA)の審査センター(CDE)がパテントリンケージ制度の肝となる、新薬とそれにリンクした特許を収録した特許情報プラットフォームhttps://zldj.cde.org.cn/home)を開設しその管理責任を負います(パテントリンケージシステムの実施弁法 §2,3)。特許情報プラットフォームはアメリカのオレンジブックの中国版と言えます。

パテントリンケージ制度でのプロセスは以下の通りです。

①新薬の特許情報の提供

②ジェネリック申請の際の声明

③裁判所・特許局への訴え

④ 待機期間(化学医薬品)

パテントリンケージシステムの実施弁法§8

1)待機期間の内容

特許権者・利害関係人は化学医薬品ジェネリック申請の際に提出された声明IVに異議がある場合に、裁判所または特許庁に訴え出ることができます(前述③を参照)。特許権者等が45日以内に訴え出た場合、NMPA(医薬品監督管理局)はジェネリック申請に対して9ヶ月の待機期間を設けて、その間はジェネリック申請に対して承認を付与しないことになります。  特許権者等が45日以内に訴え出なかった場合、NMPAは通常の審査プロセスを経て薬事要件を満たしていれば、ジェネリック申請に対して上市承認を付与します。 なお待機期間の起算日は裁判所又は特許庁が特許権者等から訴えを受理した日です。また待機期間は一回のみ設定されます。

この待機期間の性格ですが、この間であってもCDE(NMPAの審査部門)はジェネリック申請に対して審査は継続されますが、上記の通りたとえジェネリック申請が薬事要件を満たしていたとしてもその間は上市の承認は付与されないことになります。

2)米国との比較

米国のMarket ExclusivityおよびPatent Linkage制度の下では、ジェネリック企業は先発の新薬が承認されてから4年経過後にジェネリック申請(ANDA)をする事ができ、その際Paragraph IV(中国の声明IVに該当)の声明を提出している場合に特許権者等は訴訟の提起が可能となり、そのときの待機期間は2年半となっています。したがって先発の新薬は、訴訟の提起を前提として少なくとも4+2年半=6年半は独占権を保証されており、この間にジェネリック薬が上市されることはありません。これに対して、中国はMarket Exclusivityに該当するデータ保護制度の導入は検討されている段階です。したがって現段階では先発の新薬が承認されれば、ルール上いつでもジェネリック申請が可能であって、声明IVが付されていた場合に特許権者が訴え出たとしても9ヵ月間しかexclusivityが保証されていないということになります。いずれにしてもデータ保護制度の導入を待っている段階です。

3)待機期間=化学医薬品に対してのみ設定

この待機期間は、化学医薬品についてのみ設定されています。したがってバイオ医薬品、漢方薬については待機期間はなく、ジェネリックが申請された場合には通常の審査プロセスを経て承認されます。ジェネリック薬の上市後に通常の侵害訴訟によって特許問題を解決して行くことになります。  

⑤ 裁判所・特許庁の判断結果と薬事審査プロセスの関係(化学医薬品)

パテントリンケージシステムの実施弁法§9

化学医薬品のジェネリック申請で声明IVが提出され、これに対して特許権者等が異議ありとして裁判所・特許庁に訴え出た場合、上記の通り9カ月の待機期間が設定されます。この待機期間中に裁判所・特許庁から判断(裁判所=判決、特許庁=裁定)が下りた場合、特許権者等は当該判断(判決・裁定)を10日以内にCDEに通知する必要があります。CDEはジェネリック申請に対して下記の通り審査・処理します。

1)判決・裁定が下記①、⑤の内容の場合⇒新薬特許の満了を待って、CDEはジェネリック申請の承認手続きに入る。

① ジェネリック薬は新薬特許の範囲内に入る。

⑤ 待機期間を経過後であっても、ジェネリック申請の上市承認の付与前に、ジェネリック薬は新薬特許の範囲内に入るとの判決・裁定が下りた場合。

ただし上記の場合であったとしても、その後下記の事象が発生した場合、ジェネリック申請の企業はNMPAに対してジェネリック薬の上市承認を付与するよう請求することができる。そのような場合には、NMPAは承認を付与するか否かを決定することができる。

① 判決・裁定が次の裁判手続きで覆った場合

② ジェネリック企業と特許権者等の間で和解が成立した場合

③ 新薬特許が無効との判断が下りた場合、または、

④ 特許権者等が訴訟・裁定請求を取り下げた場合

2)判決・判定が下記②~④の場合⇒新薬特許の満了を待たずにCDEはジェネリック申請の承認手続きに入る。

② ジェネリック薬は新薬特許の範囲に入らない。

③ 新薬特許は無効

④ 9ヶ月の待機期間内に、判決・裁定が下りない。

⑥ 声明IV以外のジェネリック申請(声明I, II、III)の取り扱い(化学医薬品)

パテントリンケージシステムの実施弁法§10

②ジェネリック申請の際の声明」で列挙した声明I(特許情報プラットフォームに関連する特許は存在しない)または声明II(特許情報プラットフォームに関連する特許は存在するが、すでに特許満了している、もしくは特許無効宣言されている)が提出されている場合、NMPAは当該ジェネリック申請に対して技術的な審査の結果を踏まえて上市の承認をするか否かの判断を下します。

また声明III(特許情報プラットフォームに関連する特許は存在するが、ジェネリック企業はジェネリック薬が承認されたとしても当該特許が満了するまではジェネリック薬を上市しない)が提出されている場合、NMPAは、同様な方式で判断を下します。但し承認が付与されたとしても、当該ジェネリック薬は、特許期間の満了を待って、上市が可能となります。当該ジェネリック申請より前に申請していたジェネリック薬が声明IVを提出し、それが認められて、後記の通り市場独占期間が付与されている場合には、当該独占期間の満了後に、当該ジェネリック申請に上市承認が付与されます。

⑦ チャレンジした最初のジェネリック薬⇒市場独占期間の付与(化学医薬品)

パテントリンケージシステムの実施弁法§11

ジェネリック企業が声明IVを出してジェネリック薬をカバーする新薬特許が存在することは認めつつも新薬特許に挑戦(チャレンジ)してその主張が認められ、さらにNMPAがジェネリック申請に対して上市承認を付与した場合には、最初の承認対象となったジェネリック薬に対して1年間の市場独占期間が与えられます。

つまり新薬特許にチャレンジしたジェネリック企業に褒美を挙げるという趣旨で、このあと1年間は2番目以降のジェネリック薬の上市承認を与えませんので、最初の1番目のジェネリック薬にはジェネリック薬市場での1年間の独占期間が与えられることになります。ただしこの1年間の市場独占期間は新薬特許の有効期間を越えては付与されません。

ここで新薬特許にチャンレンジが認められるとは、ジェネリック申請が声明IVを提出しており、かつジェネリック申請者が特許庁に対して新薬特許の無効審判を請求し、審査の結果無効の判断がされ、最終的にNMPAによってジェネリック申請が上市承認されることを言います。

前述の待機期間と同様、最初のジェネリック薬に付与される1年間の市場独占期間中であっても2番目以降の他のジェネリック申請に対してはCDEは技術審査を継続することができます。したがって他のジェネリック申請は市場独占期間が満了すれば承認付与のプロセスに入ります。

米国の制度の下では最初のジェネリック薬に180日間の独占期間が付与されるのに対して、中国では1年間です。中国の場合ジェネリック薬が承認されたとしても市場に浸透するまでに時間がかかることが一つの理由として挙げられています。

⑧ 化学医薬品以外(バイオ医薬、漢方)の取り扱い

パテントリンケージシステムの実施弁法§12、13

バイオ医薬と漢方については新薬承認取得者による新薬特許情報プラットフォームへの登録(パテントリンケージシステムの実施弁法§2, 3, 4)および新薬特許権者側による裁判所・特許庁への訴え(パテントリンケージシステムの実施弁法§7)が適用されます。 しかしながら同実施弁法§8の適用がないことから、裁判所・特許庁に訴え出ても待機期間は設定されない事になります。バイオ医薬と漢方について新薬特許情報プラットフォームに登録できる特許の類型は化学医薬品と異なっています(前述①参照)。

バイオ医薬と漢方薬のジェネリック薬(バイオシミラー等)の上市申請が出された場合、NMPAは技術審査を実施後に要件を満たしていれば承認の決定を下します。ただし裁判所・特許庁が当該ジェネリック薬が新薬特許の範囲内に入るとの決定を下した場合には当該ジェネリック薬は新薬特許の有効期間の満了後に上市が可能となります。

⑨ ジェネリック薬の上市後の特許侵害訴訟

パテントリンケージシステムの実施弁法§14

ジェネリック薬(化学医薬品、バイオ医薬、漢方)が上市承認された後に特許権者等が当該ジェネリック薬は新薬特許を侵害していると判断する場合には、特許法等の下で特許侵害訴訟の提起等によって紛争を解決することが可能です。ただしその場合であってもジェネリック薬に付与された上市承認の取消等の効果は発生しません。

⑩ 法的責任:虚偽情報等の提出

パテントリンケージシステムの実施弁法§15、最高裁規定§8、9、特許庁弁法§20、21

ジェネリック企業がジェネリック申請の際に提出する声明の内容に虚偽がある場合、もしくは特許権者が故意に新薬特許情報プラットフォームに無関係の特許等を登録する等の行為によって相手方当事者に損害が発生した場合、さらには裁判所・特許庁に提出した証拠等に虚偽がある場合、または相手方の秘密情報を漏洩した場合等、法的な責任を負うことになります。

以上、中国のパテントリンケージ制度の概観です。今後の実務等を通じで不明点が解消されて行くことになると思います。一定期間を置いて更に解説をする予定です。

以前紹介した「医薬品の特許紛争の早期解決システムの実施規則(药品专利纠纷早期解决机制实施办法)(試行)」の最終版が公表され、7月4日に施行されました。続いて、それに関連する裁判所、特許庁の細則も7月5日に公表されて施行され本格的に動き出すことになりました。

パテントリンケージ制度の全体像

従来、ジェネリック企業があるジェネリック薬の上市の承認申請をした場合、中国の薬事当局はその審査段階においてジェネリック薬が医薬品として必要な基準を満たしているか否かの審査をするだけではなく、特許に関連する問題も判断していました。つまり、当該ジェネリック薬の製造・販売が対応の新薬(先発品)をカバーする新薬特許を侵害するか否かについてもある程度のレベルで判断がされていて、問題がないと判断されてはじめてそのジェネリック薬に対して上市の承認が付与されていました。そこには外部の様々な利害関係者からの圧力がかかっていたであろうことは想像に難くありません。そして今回のパテントリンケージ制度では、特許問題の判断にあたっては薬事当局がジェネリック薬の承認審査段階で単独で行うのでなく、裁判所特許局とも緊密な連携を取って早期に解決しようというものです。

したがって特許法76条に定められているパテントリンケージ制度については、上記の3つの機関がそれぞれ下記の通り細則・弁法等を公表した上で施行されています。

 これらの弁法・規定を引用しながら、下記の全体像に従って説明を進めて行きます。

特許情報プラットフォームの開設

中国の薬事当局である医薬品監督管理局(NMPA)の審査センター(CDE)がパテントリンケージ制度の肝となる、新薬とそれにリンクした特許を収録した特許情報プラットフォームhttps://zldj.cde.org.cn/home)を開設しその管理責任を負います(パテントリンケージシステムの実施弁法 §2,3)。特許情報プラットフォームはアメリカのオレンジブックの中国版と言えます。

パテントリンケージ制度でのプロセスは以下の通りです。

①新薬の特許情報の提供

新薬の特許情報の登録

新薬を開発した企業はNMPAに上市承認の申請をし審査を受けた結果として承認を取得した場合には、当該新薬をカバーする特許(新薬特許)を特許情報プラットフォームに入力します。この入力は新薬の上市承認を取得した者(新薬承認取得者)が承認取得後30日以内に行う必要があります。登録すべき事項には下記が含まれます。

新薬の名称、剤型、規格、新薬承認取得者、関連特許番号、特許名称、特許権者、ライセンシー、特許成立日、特許満了日、成立状態、特許の類型(物質、用途、製剤等)、承認対象の新薬と当該新薬をカバーする特許クレーム(新薬特許クレーム)との関係、連絡先・その住所、連絡方法等。

パテントリンケージシステムの実施弁法 §4

前述の通り、特許情報プラットフォームの管理責任はCDEが負いますが、登録された情報の正確性や完全性等は申請人の新薬承認取得者が責任を負いますパテントリンケージシステムの実施弁法 §4)。内容に変更があった場合には30日以内に特許情報プラットフォームに登録しなければなりませんパテントリンケージシステムの実施弁法 §4)。

このように登録された情報は、公衆に公開されます。 

登録・公開された情報について第三者は下記の点で異議を申し立てることができ、新薬承認取得者は必要に応じて特許情報プラットフォームの情報を修正し、その修正理由についても公表する必要があります。

特許情報プラットフォーム掲載された情報と特許簿、特許公報、販売承認書の情報の不一致

新薬特許に含まれる用途特許と新薬承認対象の能書の適用症が不一致

新薬特許クレームが上市承認対象の新薬の対応技術をカバーしていない

パテントリンケージシステムの実施弁法 §4

対象となる新薬特許の類型(パテントリンケージシステムの実施弁法 §5,12)

中国のパテントリンケージ制度の対象となる新薬の特許の類型は下記の通りです。

  • 低分子医薬:物質特許、製剤特許、医薬用途特許
  • バイオ医薬:配列特許、医薬用途特許
  • 漢方薬:組成物・製剤特許、抽出物特許、用途特許

したがって本パテントリンケージ制度の下で審理の対象になるのは、新薬について上記の類型の特許であり、特許情報プラットフォームに登録されている特許に基づいてなされる提訴・請求のみです(パテントリンケージシステムの実施弁法 §2、最高裁規定 §2、特許局弁法 §4(4))。

上記以外の特許の類型(例えば化合物の製造方法)はパテントリンケージ制度の対象特許とはなりません。ですから対象外の類型の特許に基づいてパテントリンケージ制度の下で提訴しても、裁判所はこれを却下します(特許法 §76)。認められていない類型の特許に基づくジェネリック薬に対する差し止め訴訟は、通常の侵害訴訟等の枠組みでの解決となります。

低分子医薬とそれ以外では対象として認められている類型の特許が異なるだけでなく、パテントリンケージ制度の下での取り扱いも異なるので(次号で説明)要注意です。

②ジェネリック申請の際の声明

特許で保護された新薬が承認され市場に出て時が経って、次はジェネリック薬の出番です。ジェネリック薬を販売するための承認を求めて薬事当局(NMPA)に申請(ジェネリック申請)する際、ジェネリック企業は当該ジェネリック薬に対応する特許情報プラットフォームに登録されている先発の新薬特許に関して声明を登録しなければなりません。それらの声明は、特許情報プラットフォームに登録されている新薬の特許が自己の申請するジェネリック薬とどのような関係にあるのかについての声明です。ジェネリック企業が提出することが求められている声明は下記の4種類です。(米国のPatent Linkage制度におけるParagraph IVの声明は、下記の声明IVに該当します。)

  • 声明I:特許情報プラットフォームに関連する特許は存在しない。
  • 声明II:特許情報プラットフォームに関連する特許は存在するが、すでに特許満了している、もしくは特許無効宣言されている。
  • 声明III:特許情報プラットフォームに関連する特許は存在するが、ジェネリック企業はジェネリック薬が承認されたとしても当該特許が満了するまではジェネリック薬を上市しない。
  • 声明IV:特許情報プラットフォームに関連する特許は存在するが、当該関連特許は特許無効が宣言されるべき、もしくはジェネリック薬は当該特許クレームの範囲には入らない。

ジェネリック企業が声明I~IIIを出した場合、申請に係るジェネリック薬に対応した新薬(先発品)をカバーする特許(新薬特許)が存在しないか、満了しているか、満了していなくても満了を待ってからジェネリック品を発売するということです。新薬の特許権者との間では特に特許の侵害問題は発生しません。

ところが、ジェネリック企業が声明IVを出した場合、ジェネリック薬をカバーする新薬特許が存在することは認めつつも新薬特許に挑戦(チャレンジ)するということです。これには新薬特許は無効だと主張する場合と、新薬特許がたとえ無効でなかったとしても(有効であったとしても)ジェネリック薬は新薬特許のクレームの範囲外にあると主張する場合が含まれます。もし声明IVが出されるような状況でNMPAがそのままジェネリック薬を承認して上市された場合には、上市後に特許侵害紛争が勃発するのは必至となります。かかる特許侵害紛争の勃発を事前に防ぐためにパテントリンケージ制度において、ジェネリック薬の申請段階で下記のメカニズムに従ってジェネリック薬の特許侵害問題の有無を判断し、もし発売したら特許侵害になるような場合には当該ジェネリック薬には上市の承認を付与しないというものです。

この声明はジェネリック申請が受理されてから10日以内に特許情報プラットフォームで公開されます(パテントリンケージシステムの実施弁法 §6)。 

なお本制度の原案の段階では、ジェネリック企業が声明IVをNMPAに提出した際に対応する新薬承認取得者に対してこの声明IVの写しの送付を求めていませんでした。したがって新薬承認取得者はジェネリック申請を常にウォッチしておかなければならず、彼らの負担となることから問題視されていました。ところが今回の施行版では、ジェネリック企業は声明およびその根拠となる資料を新薬承認取得者に通知すること(その上で、新薬承認取得者が特許権者でない場合は新薬承認取得者は声明等を特許権者に通知すること)と規定されています。またジェネリック企業の声明が声明IVに該当する「ジェネリック薬は新薬特許クレームの範囲には入らない」である場合には、ジェネリック企業は声明の根拠となる資料としてジェネリック薬の技術と新薬特許のクレームの関係についての対比表、およびその関連資料の提出が必要となります(パテントリンケージシステムの実施弁法 §6)。

③裁判所・特許局への訴え

特許権者側によるジェネリック薬に対する45日以内の訴え提起

特許権者側はジェネリック企業が提出した声明IVの内容に異議がある場合、NMPAの審査部門(CDE)がジェネリック薬の申請がされたことを公示した日から45日以内に裁判所または特許庁に訴え出て、ジェネリック申請に含まれる技術内容(ジェネリック薬の物質、用途、製剤等の技術内容)が特許情報プラットフォームに掲載されている新薬特許クレームの範囲に入るか否かの判断を求めることができます(パテントリンケージシステムの実施弁法 §7)。

ここで訴え出ることができる特許権者側は特許権者に加えて利害関係人―当該特許権者から販売権等のライセンスを受けたライセンシーで、当該特許がカバーする新薬の上市の承認を取得している企業(新薬承認取得者) ― も同様に訴え出ることができます(最高裁規定 §2、特許庁弁法 §4(1))。

そして特許権者側は裁判所・特許庁が訴えを受理した日から15日以内にCDEとジェネリック薬の上市申請人に通知する必要があります(パテントリンケージシステムの実施弁法 §7)。

上記の期限内に裁判所・特許庁へ訴えが出されなかった場合CDEはジェネリック企業が提出した声明の内容に依拠して、ジェネリック薬の上市を承認するか否かを決定します(パテントリンケージシステムの実施弁法 §7)。

訴え出る先は裁判所か特許庁

訴え出る先が裁判所だけではなく、特許庁に対しても訴え出ることができることに違和感があるかもしれません。日本と違って中国の特許庁は特許侵害事件で侵害の行政裁定をする権限を有しています(特許法 §65、参照:特許行政 / 北京政府 VS 地方政府 知的財産権の侵害と行政救済)。一般の特許侵害訴訟で特許庁に訴え出る場合には当該特許局には地方政府の特許局も含まれますが、パテントリンケージ制度の下で訴え出ることができるのは国家知的財産局(北京の特許庁)です。特許庁は、担当部局として医薬品特許紛争早期解決システム行政裁決委員会を編成します(特許庁弁法 §2)。

裁判所に訴え出る場合は、北京の知的財産裁判所です(最高裁規定§1)。 

裁判所への訴え

裁判所は特許権者側が先に特許庁に訴え出ていたとしても、並行して裁判所に訴え出ることを許容しています(最高裁規則 §5)。さらに裁判所は新薬特許の無効審判の請求が特許庁で受理されていることを理由に訴訟の中断の申し立てがなされたとしても、原則これを認めないとしています(最高裁規則 §6)。 

また、裁判所において、被告のジェネリック企業が特許の無効を抗弁として主張はできませんが、被告が、①ジェネリック薬の技術は新薬特許の特許出願時に存在していた公知技術に含まれてる(公知技術の抗弁/特許法§67)又は、②ジネリック薬は新薬特許の出願時に既に事業化の準備等を進めていた(先使用権の抗弁/特許法§75②)との主張が認められ、裁判所は、かかる認定をした場合には、「ジェネリック薬は新薬特許のクレームに入らない」と判決を下すことが出来ます(最高裁規則 §7)。

特許権者等が保全の目的で、新薬特許の期間中、ジェネリック薬の製造・使用・販売・輸入の禁止を求めた場合、裁判所はかかる請求を審理の対象とするとしています。 然しながら、ジェネリック薬に関するNMPAへの申請行為・審査承認行為の禁止を求めたとしても、裁判所はこれを認めないとしています(最高裁規則 §10)。

尚、特許権者側が上記の45日以内に裁判所に訴え出なかった場合、ジェネリック申請者は、裁判所に対して「ジェネリック薬は、特許のクレームの範囲に入らない」ことの確認を求める訴訟を提起できます(最高裁規則§4)。

特許庁への訴え

特許庁に訴えることができるのは、特許権者、利害関係人(上記参照)、およびジェネリック薬の上市申請人です(特許庁弁法 §4(1))。

当事者がすでに裁判所に訴え出ている場合には特許庁への訴えは受理されません(特許庁弁法 §4(5),(6)、§10(9))。したがって裁判所と特許庁の両方に判断を仰ぐ場合には先に特許庁に裁定を求めていく必要があります。その後裁判所に訴え出ることは許容されています(裁判所規則 §5)。

また当事者が調停を望めば調停により解決を図ります。調停書が成立しない場合には特許庁は裁決に入ります(特許庁弁法 §15)。

裁決書にはジェネリック薬が新薬特許の保護範囲に入るか否かの認定、その理由・根拠が記載されます。そして裁決書はNMPAに回覧されると同時に公表されます(特許庁弁法 §18)。

当事者がかかる裁決に不服の場合には裁判所に訴えることが可能です(パテントリンケージシステムの実施弁法 §7、特許庁弁法 §19)。

その他

訴え出る際の必要な書類等についてですが、裁判所に訴える場合には最高裁規定§3に列挙、特許庁に訴える場合の書類は特許庁弁法§7,8に明示されています。もし書類不備等で不受理になった場合(特許庁弁法 §10)訴え出る45日の期限を過ぎてしまうと申し立ての機会を失うことになるので留意が必要です。特許庁で口頭審理がされる場合には5日前に場所・時間が通知されますが(特許庁弁法 §13)、短期間の事前通知なので対応の体制づくりが必要です。

特許権者側が特許庁と裁判所のどちらに訴え出るかは自由ですが、どちらが有利かそのプロス・コンスは別途に論じる予定です。

特許権者側が訴え出たとしてもCDAはジェネリック申請の審査を継続します。審査の結果技術的要件等を備えており承認できる状態になったとしても、訴え出た日からある一定期間ジェネリック承認が付与されません。この期間を待機期間と呼びます。次回はこの待機期間を中心に説明します。

④ 待機期間(化学医薬品)

⑤ 裁判所・特許庁の判断結果と薬事審査プロセスの関係(化学医薬品)

⑥ 声明IV以外のジェネリック申請(声明I, II、III)の取り扱い(化学医薬品)

⑦ チャレンジした最初のジェネリック薬⇒市場独占期間の付与(化学医薬品)

⑧ 化学医薬品以外(バイオ医薬、漢方)の取り扱い

⑨ ジェネリック薬の上市後の特許侵害訴訟

⑩ 法的責任:虚偽情報等の提出

2015年からの中国の薬事制度改革で、すでに上市されているジェネリック薬も含めて品質面で先発品との同等性を示すデータの再提出を求める等の措置が断行されて、中国のジェネリック薬は、「品質面」で大きな進歩を見せました。そして、2018年に主要都市(4+7の11都市)にて一部の医薬品で始まった購入量保証付きの一括購入制度が全国に広がりを見せています。政府が購入量を企業に対して保証する見返りとして、大幅な薬価の引下げを求める政策が浸透しています。それに伴って、「製造コスト面」でも構造改革が進んでいます。

このような制度の大改革の中で、中国の医薬品企業(ジェネリック企業)は大変貌を遂げており、品質向上、生産コストの圧縮、そして国際化の道を走っています。ちょうど今、中国では新薬の研究開発推進のための知財保護政策の具体化が進んでいます。政策の中心である「特許期間の延長」、「Patent Linkage」、「データ保護制度」は先発の新薬の開拓者利益と後発のジェネリック薬の廉価な薬剤提供に対する利益配分をどうやってバランスさせるかの課題でもあることから、中国の新薬の知財制度の理解のためにも、中国ジェネリック薬の動向については目を離せません。

ジェネリック薬の開発期間

ジェネリック薬は原薬・製剤の開発からBE試験(臨床試験)を経て上市申請に至りますが、その開発・試験期間は2年半前後とされています。先発の新薬が10数年の研究開発期間が必要と言われているのに比較しますと、ジェネリックの開発コストは格段に低く抑えることができます。

3、4類のジェネリック薬の開発ステージ 期間
準備期2か月
製剤開発9-10か月
原料開発5-8か月
安定性試験、BE試験12か月
合計28-32か月
3、4類のジェネリック薬の開発周期

ジェネリック薬の市場占有率 / 米国との比較

米国では、ジェネリック薬の市場占有率は、数量比で90%、金額費で10%を占めています。これに対して中国では、数量比で90%以上、金額費で70%以上とされています。将来的には、ジェネリック薬の比率は低下を続け、2025年には、その金額比率で50%程度になると予測されています。

中国、アメリカのジェネリック薬、新薬(特許満了薬、特許新薬)の販売高の占有率比較

ジェネリック薬(低分子薬)業界の発展の趨勢

2015年の中国の薬事制度改革によって、ジェネリック業界が淘汰の時期に突入しました。2015年の6千社から翌年には4千社にまで減少しました。しかしながら、中国にはまだ4千社のジェネリック企業(原薬の製造企業、製剤企業)がひしめいています。

中国の原薬メーカー、製剤品メーカー等の企業数

そして、2018年に始まった購入量保証付き一括購入により平均薬価が50%引下げられました。従来、総販売高の40%を占めていた販売経費が一気に吹き飛んでしまったことを意味します。この不透明な金の流れに対して、一括購入制度の対象とする医薬品の品目的、地域的な広がりに加えて、刑事事件が絡む腐敗撲滅運動も並行して進んでいます。そういった中で、ジェネリック企業の収益を生む隙間は、製造コストの低減にしか見当たらなくなってしまいました。製剤企業が製薬(API製造)企業を買収して集約化する動きも見られます。

ジェネリック薬の間の競争 / 最初に市場に出るジェネリック薬

米国で新薬の価格は、特許が満了してジェネリック薬が出現することにより、1年後の下げ率は51%に達します。また、最初に市場に出たジェネリック薬の価格は、特許満了後の新薬の価格に対して94%の価格であるのに対して、2番目のジェネリック薬は52%、そして20番目は6%にまで下がります。

中国ではパテントリンケージ制度の導入によって、最初のジェネリック薬に1年間の独占期間(この間、2番目以降のジェネリック薬は上市承認がされない)が付与されることが予定されています。この最初のジェネリック薬の特典を獲得すべく、中国の優良とされる代表的なジェネリック企業、例えば、恒瑞医药(Hengrui Medicine)、豪森薬業(Hansoh Pharma)、信立泰薬業(Salubris Pharma)、正大天晴薬業( Chiatai Tianqing )、華東医薬(HuaDong Medicine)等が競っており、これらの企業は、すでに病院・臨床家から広く支持を得ており、ジェネリック薬の中でのブランドを確立しています。

中国国産のジェネリック薬の「国際化」と「双循環」

上記の通り政策誘導により企業淘汰が進んだ結果として、中国のジェネリック薬は、品質面・価格面で国際的な競争力を獲得しています。中国企業による米国でのジェネリックの上市承認の為の申請(ANDA)の数は下記の通り、2018年にジャンプしています。

2009-2019年中国企業の米国ANDA申請数

特に、華東医薬(HuaDong Medicie)の海外展開は目覚ましく、2015-2019年に米国で80件のANDAを申請。このような海外展開をベースに中国の本土市場に回帰するという戦略で、中国国内における集中買付の環境下においても品質と価格優位性を武器に優位な立場を占めつつあります。2019年には、双成薬業(Shuangcheng)、正大天晴薬業(Chiatai Tianqing)、博雅生物製薬(Boya)等が米国ANDAの申請数で躍進しています。

このように、中国企業の国際化は、まず原材料である「医薬品の中間体」の製造・輸出から始まって、その後「API原薬」の製造・輸出に発展し、今日では「最終の製剤品」の製造・輸出に大きく踏み出している段階にあります。中国の医薬品を取り巻く政策の大改革を踏まえて、品質向上、コスト圧縮を果たした中国のジェネリック薬は、海外への輸出と同時に国内での集中買付での入札・落札の「双循環」の流れに向かっています。