2020年、中国の医薬バイオテクノロジー投資はが大活況でした。中国が国策として新技術R&Dを強力に推進していた、その流れの中でコロナ・パンデミックがあり、医療に関わる新技術への注目度がさらに高まっていることが医薬バイテクへの投資傾斜を加速しています。
中国の医薬バイテクがIPOを狙うに当たっては、下記の4つの市場が対象になります。
中国バイオテクノロジー企業の主なIPO先
1.上海証券取引所・科創板(The Science and Technology Innovation Board; STAR Market)
2019年、ハイテク企業向けに上海で立ち上げられた。
2.香港市場
科創板の開設前から資金調達がされていた老舗市場。
3.メインボード(主板)
日本の東証一部に当たる、中国の伝統的な株式市場で、上海市場や深圳市場。医薬バイテクにはIPOのハードルが高い。
4.米国証券取引市場
NASDAQ等
IPOを果たした中国の医薬バイテク企業を「数」で見ると、下記の通り、科創板の伸びが著しく、2020年は前年度比で2倍となっています。次いで、香港市場が50%増となっています。
このようにIPOが活況を見る中、中国の医薬バイオベンチャーの起業、そしてIPOに向けた投資の継続に一段と熱が入っています。2020年の一年で、1660件の新規投資が成立しており、その一件当たりの投資額のサイズは40億円程度と、日本の感覚で言いますと桁外れに大きい印象です。
2020年、投資額ランキングのトップ3は以下のようになっています。
2020年、投資額ランキングのトップ3
1.联拓生物(LianBio)
2020年の受け入れ投資額トップは、2020年8月に創業したばかりの「聯拓生物」の335億円です。
聯拓生物は上海をベースとした医薬バイオベンチャーです。
2.益方生物(InventisBio)
次いで2013年創業の「益方生物」の150億円、こちらも上海をベースとした医薬バイオベンチャーです。
3.创胜集团(Transcenta)
創勝グループは腫瘍を中心とした十余のパイプラインを持つバイオテクノロジー企業グループ。12月に110億円の投資を集めました。
これ以外にも、低分子医薬の創薬ベンチャーの雄、药捷安康(TransThera)も2020年に108憶円の投資を受けました。
このように、中国では投資のワンロットが数十億円のレベルにあります。そして今、これらの新規投資をバックに中国ではR&Dが推進されていて、その成果としての実りが数年先に具体的に出てくると期待されています。日本の医薬品企業が新薬プロジェクトを中国から導入する方向に本格的に舵を切るのはもうすぐでしょう。