処方薬の電子商取引(医薬品のネット販売)の具体化について政策が発表される
「六保、六穏」とは、2018年に中国政府が打ち出した政策で、国民の就業機会および生活の基本等を「確保」することによって、企業が事業を行うビジネス環境の整備・「穏健」化を図り、投資の推進に結び付けようというものです。この政策実施の一環として、2021年4月15日に国務院が新たに政策文書を発表しました。
「六穏」「六保」の基本政策概念を更に進めて行政管理の簡素化を推進する為の指針(关于服务“六稳”“六保”进一步做好“放管服”改革有关工作的意见)国办发〔2021〕10号
行政管理の簡素化に並行して、8つの柱からなる重要政策が挙げられており、例えば、「就業機会の確保」関係では、電子商取引関連の就業機会を増やす等の政策がうたわれています。そして、医薬・医療分野に関連する事項としては、「生活関連の行政サービスの向上」の政策の一つとして、「処方薬(一部の指定医薬を除く)の電子商取引」を認めるとしています。
これまで、処方薬の電子商取引については多くの議論がなされてきましたが、今回、政府がそのシステム構築に向かうことを正式に決定し、実行に移すことになりました。
中国の医薬品関連産業は、目下、制度・システム改革の嵐に晒されています。医薬品の製造企業に対しては、政府部門による購入数量保証による一括買付が既に実行に移されています。今回は、更に、流通末端で患者が処方箋に基づいて、ネット上で処方薬を購入できるというもので、医薬品・処方薬の流通業界に大きなインパクトを与える政策です。また、医療の情報化との連動によって、医療・医薬流通に大きな変革をもたらす第一歩になると言われています。なお、処方薬のネット販売に伴って発生するであろう不正等に対し、どの様に監視体制を組んでいくのか、今後の課題です。
「六穏」「六保」の基本政策概念を更に進めて行政管理の簡素化を推進する為の指針(关于服务“六稳”“六保”进一步做好“放管服”改革有关工作的意见)は こちら から全文をご覧いただけます。
Author Profile
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弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)
藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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