【科倫博泰】Kelunがメルクに対し1200億円規模のライセンス導出


最終更新日: 2022/08/8

Kelun(科倫)のライセンスディール

科倫博泰(Kelun-Biotech)は、自社研究開発のSKB264(TROP2-ADC/TNBC乳がん)の全世界の開発・製造・販売権をメルク(Merck)に付与しました(2022.7.26発表)。ライセンスの経済条件は、upfront:$35M(47億円)、milestones総額:$901M(1210億円)です。

SKB264はKeLun-Biotech自社開発のTROP2-ADCで、中国でTNBC(乳癌)患者のPhase III、および非小細胞は胃癌のPhase IIを実施中です。Kulun-Biotechは、四川省の成都の医薬品ガリバー企業である科倫集団(Kulun)が成都の医学城(Chengdu Medical City)に2016年に新薬の研究開発等を目的に設立した子会社です。 

なおKulun-Biotechは2021年にも自社研究開発のEP0031(RETキナーゼ阻害剤)を、英国の癌ベンチャーであるEllipsesに対し欧米でのライセンスを供与しています。その対象製品は、米国でPhI/IIが開始しています。

今回のメルクへのライセンス供与は、それに続く第二弾です。

KeLunの本拠地である成都

Kulunの本拠地のある成都は四川省の省都であり、上海から西に2千キロ、中国の西部地区開発の拠点です。揚子江沿いにあるバイオ医薬のサイエンスパークは、上海を筆頭に、揚子江を上流に上って、蘇州、南京が先行していますが、さらに上流の成都では医薬城を建設し躍進しています。

この医薬城には、公的研究機関を中心にしてWuxi等のCROが進出しており、Kelunのみならず多数のバイテク企業が集積しています。このように成都の医薬城でもバイオ医薬R&Dエコシステムが整備されており、そこの企業群も中国国内でのグローバルに向けた競争に参加しています。

成都は四川料理の麻婆豆腐と美人を生む街としても知られています。パンダの基地、三国志の聖地(諸葛孔明)でもあります。

科倫(Kelun);科伦简介_四川科伦药业股份有限公司 (kelun.com)

Author Profile

川本 敬二
弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)

藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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